いろんな目2025年6月6日
「自然番組がやりたい!」と思い映像業界に入って、最初に作った「
さわやか自然百景」は5年目のこと。
他に様々な番組も経験しながら、年1本ペースで細々と自然番組の制作に携われています。
本当はもっとガッツリ関わりたい気持ちがありつつも、毎回担当する番組はどれも刺激的で1年が短く感じられ、気づけば9年目が近づいてきました。
先日関わったのは、「
ワイルドライフ」という90分の番組。
しかも、NHKがこれまで撮り溜めた珠玉の植物映像を集めた総集編です。
実は、植物オンリーの総集編を作るのはNHK自然番組の長い歴史の中でも初の試み。
古くは「生きもの地球紀行」時代の映像もあり、4Kレストア作業によって現代に蘇りました。
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「植物たちの地球 つながり育む緑の星」はNHKオンデマンドでいつでも見れます!
編集室で最初に行ったのは、膨大な素材を“見る”作業。
この時点で、候補になる番組数はなんと約1200本。
ある程度の目星は付いていたものの素材量(尺も)が多いのには変わりなく、「こっからどうするかな・・・」と最初は途方もない感覚でした。
白い花を咲かせたと思ったら次の日には赤い花を咲かせる植物、花が驚きの機構を持つようになった植物等々・・・
どれも面白い映像ばかりでしたが、最終的に13本の番組で大枠の話を進めていくことになりました。(全体で使った番組数は75本に!)

編集室の様子
少し話は逸れますが、「”鳥の目”と”虫の目”を持って◯◯しよう」というフレーズを聞いたことあるでしょうか。
簡単に言えば、物事を俯瞰的に捉える“鳥の目”と、細部にフォーカスして緻密に観察する“虫の目”という意味で、ビジネスの心構えとして言われることが多いかと思います。
私は大学時代の指導教官から研究の心構えとして刷り込まれましたが、映像制作においてもこの言葉を大切にしています。
番組の大きなテーマを貫くように各パートを組み立てていく(要は“あの作業”)のはまさに鳥と虫の目の比喩と同じで、
わざわざこの言葉を持ち出さなくとも映像制作のメソッドとして確立している事かとは思います。
ですが自然番組に関わる者として、生きものになった気分で番組を作っていたいものだなあ、と、
植物と関わる鳥や虫の映像を見ながら改めて感じました。
(番組は1ヶ月半かけていろんな人の”目”を通して完成しました)
今回は編集室のみでしたが、現在も自然番組を制作中です。
生きものや土地が見せる些細な表情に目を光らせ、視聴者が目を丸くするような番組をお届けしていきます!

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