いかに良い画が撮れる環境を作るか ~スポーツドキュメンタリーの現場から~2016年12月7日
こんにちは。矢吹です。
私は「スポーツ大陸」、「アスリートの魂」というNHKのスポーツドキュメンタリーをプロデューサーとして企画・制作してまいりました。
守ろうとしている信条は「プロデューサーとして、ディレクターを演出、カメラマンを撮影に集中してもらうためにも、トップアスリートが集まる現場に喜びを感じることができる環境を作ること」です。
そのために毎回、様々な障壁を乗り越えながら番組プロジェクトを進めています。
プロジェクト進行中に最も苦しむのが「いかに良い画が撮れる場所にカメラを配置できるか」です。
今や「スポーツメディア」は「巨大ビジネス」としての側面も大きくなってきています。
トップアスリートのトレーニング、試合を撮影、放送するためには、「撮影権利料」、「放送権利料」が発生することが多くなりました。
「撮影権利料」とは、撮影行為にかかる料金。「放送権利料」とは、それを放送する行為にかかる料金です。
スポーツにとってメディアはそれだけ「お金を生む」ものになっているのです。
その中で「スポーツドキュメンタリー」を制作する私たちは「中継映像」ではなく「“番組独自の”ある選手に焦点を当てた映像」を撮らなければなりません。
つまり、その選手の最高のプレー、表情を出来るだけ近くで撮れる場所にカメラを配置しなければなりません。
そのために毎回、厳しい交渉が繰り広げられます。
当然、番組プロジェクト側の予算にも限りがあります、一方、権利所有側は「より良い場所」であればあるほど、より高い金額を求めてきます。
時にはスタジアムや練習場の図面を広げて、番組側の要望を伝えつつ、お互いに妥協しつつ、金額をどこまで落とせるか、という話し合いが繰り広げられます。
この交渉は撮影に入るぎりぎりまで続くこともあります。
プロデューサーとしては本当に胃が痛い、眠れないくらいのプレッシャーに晒される日々です。
しかし、だからこそ「良い画が撮れた」と、ディレクター、カメラマンが目を輝かせて帰ってきた時には本当に嬉しく思いますし「苦労してよかった」と思うのです。
そんなこんなの「番組プロジェクトの裏側」ですが
これからも、精進を重ねて、より良い番組作りを目指して行きたいと思います。

ここが番組の編集室です
矢吹 健一
相変わらず人生先行き不安ながらも、今冬はスキーに行こう、と誓う42歳独身です。