千代田ラフト

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スポーツ中継ってオモシロイ!!2018年12月12日

~歴史的瞬間に立ち合えた貴重な経験~

今はまさに、“卓球ブーム”。
男子は、成長著しい「チョレイ」の張本選手や、リオ五輪シングルス銅メダルの水谷選手もまだまだ活躍!
女子は、卓球界を盛り上げ牽引してきた福原愛さんの引退は寂しい限りだったが、世界3位の石川佳純選手を筆頭に、
先のワールドツアーで中国のトップ選手を次々に倒し優勝した伊藤美誠選手に、世界9位の平野美宇選手の「みうみま」など、
若くて有望な選手がどんどん現れ、卓球界の未来はなんて明るいんだろう!

そんな中、日本のトップ選手達が参戦し、2018年10月に開幕したのが、「T.LEAGUE」だ!
「卓球も大相撲のように、いつかは国技に」という、T.LEAGUE松下チェアマンの思いから、両国国技館を開幕戦の舞台に選んだ。

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そのオープニングセレモニーは、スポーツの新リーグ幕開けに相応しく、光と音による華やかな演出だった。
思い出すのは、25年前のJリーグ開幕。私は、幼少の頃からサッカーの世界で育ってきたので、そのときは感慨深く、
高揚したのを覚えているが、なぜかそれに似たものを感じた。

男子の開幕戦には5,624人、女子開幕戦は4,572人が観戦。
そのチケット代は、卓球台のすぐ横、目の前でプレーを観られる席で、なんと10万円。最初に聞いたときはホントに驚いた。
フットボールの最高峰チャンピオンズリーグを観戦できるくらいの価格設定だったからだ。
ただ、もっと驚いたのは、その高い席から売れていきなんと完売したというのだ。それだけ、注目された開幕であったのだ!

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注目されるには理由がある。
世界No.1の卓球リーグを実現するために、T.LEAGUEは各チームに必ず世界ランク10位以内相当の選手を入れる
という高い条件を課した。
卓球王国の中国やドイツなど独自のリーグを持つ国の選手や、伊藤美誠選手も今回の参加は断念したが、
先に挙げた日本のトップ選手の他にも、世界ランキングが一桁の選手で五輪や世界選手権、ワールドカップなどの
国際大会のメダリストなど、世界のスタープレーヤーが集結したのだ。
リーグは、男子・女子それぞれ4チーム参加し、ホーム&アウェーの総当たりのリーグ戦を戦い、上位2チームが
3月に行われるファイナルへ駒を進める、という仕組みだ。

詳しい「T.LEAGUE」情報は、公式サイトを参照ください
https://tleague.jp/



さて、こういったスポーツのリーグには、ほぼすべてと言っていいが、試合の「公式映像」というものがある。
現場で観戦できない人は、テレビやネットなどでライブ或いは録画放送される中継を観ることになるが、
それと同時に、試合の記録映像として残されていくのだ。
今回、私は幸にも、この「T.LEAGUE」公式映像の中継制作者として、最初の現場に携わることができたのだ。
こんな貴重な体験は、したくてもそうはできない、とてもラッキーだった!

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【スポーツの魅力と中継の難しさ】

私は、映像業界に携わって28年ほど経つが、これまで、サッカーJリーグをはじめ、プロ野球、
バスケットボールなど、メジャーなスポーツ中継を何百・何千試合も担当してきた。
「スポーツは筋書きのないドラマ」と俗に言うが、先がよめない面白さは当然のことながら、
プレーの凄さや応援の熱気といった臨場感は、現場でないと味わうことができない。
だから私は、スポーツ観戦は“生”が一番、だと思っている。
ただ、現場に行かれない場合はテレビ、ネット或いはスマホなどで中継を観ることになるわけだが、
映像や音声を通して観戦する人が、そのスポーツの醍醐味や熱気を味わえるようにするのが、
中継する上で大切だと考えている。
特に肝心だと私が考えているのが、カメラポジションだ。

スポーツ中継では、通常5台から6台のカメラが基本で、これでだいたいのスポーツは伝えられる。
昨年話題となったDAZNのJリーグ中継にいたっては、18台のカメラでサッカーをとらえている。
あまり多くても困るが、これだけあれば、いろんなアングルでサッカーを表現できるので、
映像としてはより多角度から魅力的に伝えられる。
しかし、今回の「T.LEAGUE」に関しては4台しかない。
(ま~サッカーと卓球では被写体の数が全然違いますが…)

どこにカメラをおけば、卓球というスポーツやその魅力・面白さが伝わるのか、これは案外シビアだ。
特に卓球というスポーツは、76cmの高さに、長さ2740mm幅1525mmという狭いテーブルの上で、
直径40mm重さ2.7gのボールを打ち合う競技。
そのボールのスピードは、スマッシュを打った瞬間の初速が140~180kmほどあると言われ、
ボールは両選手の間を0.3~0.4秒で行き交っている。
ボールの回転や軌道、選手のプレーする動き、それらをカメラでどう見せれば、
卓球というスポーツの魅力が映像としてとらえられることができるのか。

例えば、ボールが行き交う方向にカメラを置けば、カメラを左右に振ることがないので
目線をそれほど動かさずにボールの動きはとらえられる。
さらに、速いボールの動きは、通常のスローの2~3倍であるスーパースローをかけることによって、
ボールの回転や軌道なども見ることができる。
そういった、前後左右或いは高さなど、理想とするポジションにカメラを置くことによって、
スポーツの醍醐味や魅力を映像を通して伝えることができるのだ。


【スポーツ中継ディレクターというお仕事】

ところで、そんなスポーツ中継で、私がどんな仕事をしているのかというと、全体を仕切るディレクターをしている。
中継車の中にいる私は、スイッチャー(カメラを選択しボタンを押す人)さん、カメラマンさん、音声さん、
スローオペレーターさん、CGさんら数十人いるスタッフさんたちに、
「オープニングVあけは、1カメさんの天井からパンダウンね」「2カメさん、次のプレーは選手残しで!」
「CGさん、試合終わりでランスコね」「スローさん、V2球のフォローいける?」などといった指示を出している。
皆さんには何を言っているのか想像できるでしょうか?(ここでは細かい説明は省きます)

中継中は、試合の状況を見ながら、あれやこれや指示を出して放送の流れを作っているのが中継ディレクターなのです。
当然ながら、被写体である選手に対して、まったく演出ができません。
そこで行われているプレーや、選手、監督また応援するサポーターなどの表情など、そのとき何を撮ればいいのか、
その一瞬をいかに伝えられるか…中継ディレクターには先を詠む判断の速さが求められます。
そのためには、スイッチャー、カメラマン、スローオペレーター、音声など各ポジションに的確な指示を送りながら、
実況者や解説者のコメントと映像をリンクさせたりしていくことも大切なのです。

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スポーツ中継は、ライブがほとんど。終わってしまえば終わり。
そこには、決定的なポイントを逃してしまった難しさや、気合いの入った選手の表情をとらえることができた喜びなど、
難しさと面白さが入り交じっている。あとくさりはないけど、満足や納得できた中継は、これまで一度もなかった。
次はこうしよう、ああしようと、反省もいっぱいだ。


【スポーツ中継への想い】

日本のスポーツのリーグの中で、プロ野球を筆頭に、サッカーのJリーグ、3年目に突入したバスケットボールのBリーグ等は、
観客動員としては成功を遂げてきたと言える一方で、新たなリーグが立ち上がっても、盛り上がりの面でなかなか浸透せず
長続きしないスポーツがあったことも現実である。
それは、正直、この「T.LEAGUE」においても同じではないだろうか。
まだ始まったばかりではあるが、これからどやってこの盛り上がりを持続していくことができるか、「T.LEAGUE」の課題だ。
世界最高峰の卓球リーグを目指すならば、トップクラスの選手が常に出場し、観客を魅力するプレーをすることが一番大切な
要素だが、それを支えていくスタッフのサポートはもちろん、私たち中継スタッフが、いかに面白く魅力的な映像を作り上げて
いくことができるかも大事になってくると、私は思う。

2020年には、東京オリンピック・パラリンピックがやってくる。
スポーツは今までも、そしてこれからも感動を与えるのは間違いない。
スポーツはやっぱり間近で見れば、その素晴らしさが伝わるが、映像を通して、どれだけ感動を与えることができるのか、
模索は続く。
スポーツの魅力、素晴らしさを、映像を通して伝えるために。

最後に、中継車で私が指揮をとりスタッフをコントロールして出した映像を、何万いや何千万人もの人に観てもらうことは
すばらしいことだが、その反面、中継車では各カメラから送られてくる映像モニターだけを観ているだけで、すぐそこで、
一流のアスリートがプレーしているのを生で見られないのは、本当に残念で仕方がない!
やはり、スポーツは生で見てこそ、興奮できるからだ!

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(追伸)11月、中継車ディレクターをようやく後輩に任せられ、張本選手や水谷選手のプレーを生で観ることができた。
映像や音からは感じ取れない、会場の緊迫感と盛り上がり、そしてトップアスリートの気迫を感じることができた!
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