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青い壁に科学の未来を描く2015年11月3日


今年もノーベル賞の授賞者が発表されました。
医学・生理学賞に大村智さん、物理学賞に梶田隆章さん、
2日続けて日本人研究者の受賞発表で、“日本の科学”がにわかに注目を集めています。

その科学の最先端を分かりやすくご紹介するのが、
私の担当している「サイエンスZERO」です。
▼詳しくは、こちら。

ちょっと難しい内容の回もありますが、
毎週毎週、さまざまな科学ネタを扱うテレビ番組なんて、
サイエンスZEROくらいではないでしょうか。

というわけで今回は、
サイエンスZEROの収録をしているスタジオをご案内しましょう。
こちらです!!

01
どーん。
はい。一面、青です。まっさおです。
(ちなみに、右側でぼーっと突っ立ってるのが私です。)


サイエンスZEROのスタジオはバーチャルセット。
この青い壁にCGを同時合成するんです。

・・・といっても、何のことだか、という感じですよね。
実際にスタジオには何もありませんが、カメラを通すと同時にCGが合成され、
モニターで見ると、こんな風になんとも不思議な空間に立っているように見えるんです。

02
下に見えているのが、カメラを通してCGを合成した画面です。
この日は、がんの免疫療法の回。(この研究もノーベル賞候補です。)
着ぐるみを着た演者さんの動きの確認中のヒトコマです。
(出演 右:がん細胞さん 左:T細胞さん)

サイエンスZEROは、ほぼ毎週スタジオ収録を行います。
毎週、テーマに合わせて違うバーチャルセットをイチから作ります。
ですから、実際にバーチャルセットのプログラムを作るバーチャル担当者は大変です。
それでも、発注からほんの数日で完璧なバーチャルが組み上がってしまうんです。
番組スタッフの間では、バーチャル担当者のことを“魔術師”と呼んでいます。(笑)

そんなバーチャル魔術師たちのおかげで、
この青い壁が細胞の中になり、
宇宙の果てになり、
噴火の続く火山になり、
マリモの群生地になり、
番組MCのお2人と視聴者の皆さんをどこにでも連れていくことができるんです。

毎回、バーチャルセットに工夫を凝らし、
科学に興味のない人でも番組を楽しんで頂けるよう心がけています。
かつて番組を担当していた先輩ディレクターさんが言っていました。

「いつか、この番組の視聴者からノーベル賞受賞者を出したい。
その人が科学の道を志すきっかけにこの番組がなればいい」

最近では、授業でサイエンスZEROを使って頂いている学校もあると聞いています。
自分の作った番組を見たこどもたちがいつか科学者になるとしたら、
「未来の科学」の礎の、その端っこで少しくらいは力になれているのかな、と
ひっそりと思いながら、次回のバーチャルセットのアイデアを考えています。

日谷隼也
根っからの文系。大学の専門は中世日本史「毛利元就の書状について」