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彦根城観光用アプリ 完成しました!2021年4月17日

突然ですが、「彦根」といえば、何をイメージしますか?
やっぱり、「ひこにゃん」? 
いやいや、それだけじゃないです。
彦根が世界に誇る魅力、それが「彦根城」です。

豪華な装飾を施した優美な見た目の反面、敵を全滅させるため計算され尽くした城の構造、
何も意識せず通り過ぎてしまいそうな石段や石垣にも、数多くの仕掛けが隠されています。

写真1 そんな彦根城を体感できるスマートフォン・タブレット向けアプリ、
「体感 国宝彦根城」がリリースされました!

弊社は、城内各所の解説と彦根城の概要をまとめた11本の動画制作を担当しました。
アプリは日本語・英語・中国語の3か国言語に対応しており、動画は全世界で視聴可能です。

彦根城の魅力を海外の方にも分かりやすく伝え、コロナウイルスの感染拡大が収まったら、
多くの人に彦根城に来てもらおう!というアプリです。

国宝彦根城01_アプリ
普段、科学系の番組を担当することが多い私ですが、実は大の歴史好き。
小学校の自由研究で近所の古墳を調べ、大学では毛利元就の書状を研究していました。

なので、実際に城を訪れ、専門家に詳しくお話を聞けるなんて、楽しくて仕方がない!
しかも、ドローンやGoProを駆使して撮影する城や戦シーンがとにかくカッコいい!
もはや、仕事であることを忘れて純粋に楽しんでしまいました。

撮影は去年の夏。気温が連日30℃を超える猛暑の中行われました。

彦根城は平山城。入り口から天守までおよそ50mの高低差がありますが、
築城時の姿をほぼそのまま残しており、エスカレーターのような文明の利器はありません。

スタッフは重い機材を持って、出演者は重い甲冑を着て、整備されていない石段を上り下り。
撮影の合間にポカリをがぶ飲みしてすぐ次の撮影へ、というハードなスケジュールでした。

特に大変だったのは、このシーン。

写真3
2つの入り口から攻め入った敵兵が、城の構造上1か所に集まってくるというシーンです。
映像では、たくさんの敵兵が集まっていますが、実際にロケ現場にいるキャストは3人だけ。
3人のキャストがいろんな方向から走ってくる様子を同じカメラポジションから撮影し、後で合成する、という手法を取っています。

つまり、甲冑隊の皆さんは、何度も何度も走って周りを見渡すという演技を繰り返すことに。

もちろん、熱中症にならないよう、休憩を挟み、水分補給をしながらの撮影ですが、
猛暑の中、何度も走ってもらうよう指示を出すのはさすがに心が痛みました。
それでも、文句を言わず熱演して下さった甲冑隊の皆さんに心から感謝です。

一方、このシーンの撮影中、同行したCG担当の瓜田君も、別の敵と戦っていました。
撮影時、私とカメラマン、瓜田君の3人がいたのは、この石垣の上。(矢印の位置です)

写真4
特別な許可を頂いて、石垣の上から撮影していました。
実はCG担当の瓜田君、虫が大の苦手。
でも、すぐ後ろにある木にいたんです。瓜田君の苦手な、セミが。
身動きの取れない狭い石垣の上。高さは約6m。目の前には高価な機材。背後にはセミ。
「セミが急に飛んだら、パニックになってしまいそうだ!」と気が気じゃなかったようです。
幸い、セミが動くことはなく、カメラマンが足を蚊に大量に刺されただけで済みました。

そんな瓜田君が担当したのが、迫力ある銃撃や矢が降り注ぐ戦い、そして、橋が落ちるダイナミックなシーンのCG。
砂煙や画面の揺れなど、細部まで臨場感にこだわったCGにも是非注目してご覧ください。

写真5
他にも、この撮影ではいろんなことがありました。
・さっきまで後ろを歩いていたADが城の中で迷子に
・撮影準備中、近所のおじいさんに「一緒にラジオ体操せんか?」と誘われた
・甲冑隊の熱演に耐え切れず槍と太刀が破損
・セミがうるさすぎてセリフが聞こえづらくなる
などなど。ここだけ取り上げると、ロケというより「珍道中」という感じですね。

現場では、出演者のクリス・グレンさん自ら、出演者の甲冑の着付けを手伝って頂いたり。

写真6
学芸員さんが弓の張り方をADに教えてくださったり。

写真7
「彦根城の魅力が少しでも伝わるように」と、たくさんの方が協力してくださいました。
改めて、たくさんの人の思いや支えがあって、我々は映像制作をしているんだなと、実感した撮影でもありました。

今回の案件、クライアントは彦根、出演・監修は名古屋、動画制作は東京。
それぞれの地にいながら打ち合わせや動画の内容確認をリモートで行う形で進められました。
もしかしたら、コロナ禍でリモート会議が普通になったからこその形態かもしれませんね。
(クライアントが車で移動しながらリモート会議に参加、なんてこともありました。)

弊社では、今後も日本全国の史跡や歴史的建造物のPR動画を制作に力を入れていきます。
観光資源としてそれほど注目されていなくても、歴史的価値や隠れた魅力がたくさんある。
そんな史跡にスポットライトを当てて、新たな観光資源を作り出すことで、
街の魅力の再発見に繋がっていけば、映像制作でその手助けができれば、と思っています。


今は気軽に遠出できる状況ではありませんが、「こんな状況」だからこそ!
アプリ「体感 国宝彦根城」を使って、彦根城の魅力をたっぷりと楽しんでみてください。
そして、コロナが収まったら是非、彦根城を訪れてみてください!

【日谷隼也】 ロケ先では必ずご当地のクラフトビールを買って帰ります。