町の中心を出ると、広い田んぼが広がります。かつては農業が盛んだったようですが、現在は米の値段が下がり、厳しいとのことでした。山間には棚田も築かれています。石を丁寧に積み上げた棚田からは、狭い土地を有効に使ってきた先人たちの苦労がしのばれました。こうした風景を見つけると、棚田を番組の中で生かせないかと考えるようになります。
さらに、取材する人も探します。過去の新日本紀行に出演しており、現在農業を熱心にしている人とか、地元で伝統を守っている人。一度は都会に出たが、ふるさとを忘れられなくて戻ってきて、地元ならではの仕事をしている人。あるいはもっと単純に、味のある人、親しみを感じる表情のある人とか、共感を呼ぶ話し方をする人とか……。出演者の方を探す視点は様々です。
そして、どんな番組になるかは、出演してくださる方々にかかっています。腰の曲がったおばあさんがわらぶき屋根の農家に暮らして、裏の棚田を耕し、天気の良い午後は縁側で近所の友達と、お皿にのった野沢菜をつつきながら、茶飲み話に花が咲く。でも実は、このおばあさんはかつての新日本紀行に出演していた、なんて話がないかと町中を探して回ります。もちろん、そんなに簡単には見つかりません。 |