たとえば、得点を争うスポーツで接戦が続き白熱すればするほど、おのずと面白く映る。
点差が開いたり、淡々とした試合展開が続けば、どう中継しようが面白くないのです。
Jリーグを例にあげてみると、ヨーロッパなど世界のトップレベルのサッカーに比べて、技術もスピードもイマジネーションもまだまだといえるでしょう。
スペインやイングランドのサッカーは見ているだけで楽しいのです。
ですから極端なことをいってしまえば、
ベースカメラ(通常、試合を見せるカメラ)だけでも飽きないのです。
ところが、Jリーグの場合はまだその段階までには至っていないので、
いかにカットを変えたり、選手の表情を巧みに組み合わせながら見せていくかが課題となります。
でも、それがなかなか難しいのです。
スポーツは一瞬一瞬のうちに展開され、待ってはくれません。
今この一瞬に何を映像として伝えればいいのか、迷ったり判断を誤れば感動が逃げてしまいます。
また映像のカットやちょっとしたサイズでも、選手の思いの伝わり方が違ってきます。
ディレクターだけがいいものを伝えようとしても難しい。
その中継にかかわるスイッチャー(いくつかのカメラ映像を切り替える人)、カメラマン、音声などすべてのスタッフの思いが1つになった瞬間に、感動できるシーンを伝えられると思います。
アテネオリンピックの男子体操団体決勝で、鉄棒・富田選手のフィニッシュの瞬間、NHK刈屋アナウンサーの「栄光への架け橋だ!」と叫んだ場面では、全てが凝縮されていました。
選手の表情、金メダルという結果、映像そして音声、伝える側のすべての思いが1つになって感動を与えたシーンでした。
自らが番組全体を企画構成し、出演者の動きなどを決められる番組とは違って、基本的にスポーツの中継は、そこで行われているスポーツのありのままを伝え、そこに演出を加えることができないのです。だから難しく奥が深いのです。
2005年もスポーツから目が離せません。
サッカーのワールドカップ最終予選に、
プロ野球では楽天・ソフトバンクに交流試合、などなど。
スポーツ中継に完璧はありませんが、少しでも感動できるものを伝えることができたらと思い、今後も試行錯誤を繰り返しながらスポーツの中継に携わっていきたいと思います。
|