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ヨーロッパコーディネーター事情「よみがえった聖母教会 〜ドレスデン 60年後の和解〜」ロケから
 BSドキュメンタリー「よみがえった聖母教会」のロケは1ヶ月、3カ国に及びました。今回はそれぞれの国でお願いしたコーディネーターの横顔をご紹介します。


ドイツ/ 野村志乃婦さん
野村さんはどこまでもマイペースな人だ。
皆で中華料理を食べに行くとする(例のWカメラマンが好きなのでよく行った)。彼女は1人だけ自分の食べる分を先に注文する。で、あとは皆さん勝手にどうぞ、というわけだ。うーん。自分の好きなものも入れて皆でシェアすればいいのに。好き嫌いが極端なのだ(というより嫌いなものが多すぎるのだ)。また、仕事の頼みに対しても、イヤな場合、イヤだと即座に首を振る珍しいコーディネーターである。ただこちらが熱心に説明して、納得すると一所懸命にやってくれる。自分の考えははっきりしているが、根は優しい人なのだ。こちらの無理な注文も多いし。
野村さんは、現在ベルリンの古い(歴史的な?)アパートにドイツ人の旦那さんと2人暮らし。2人ともヘビースモーカーで、部屋に入るとヤニの匂いが充満している。天井の高さはなんと3メートル。その隅っこに小さな炬燵(こたつ)を置いていて、うずくまるように仕事をしている(メールアドレスはkotatsudeboo)。その奇妙な光景を見ていると、日本とドイツの文化は根本的に合わないな、と思ったものだった。彼女はドイツ人に対しても「ダンケ、ダンケ」とお礼をいいながらぺコリ、ペコリとお辞儀する。この辺は日本人だなあと思う。しかしその様子はなかなかかわいいのである。
 

 

ポーランド /金子潤郎さん
金子さんは、一見エリートビジネスマン風。ロケの初日にネクタイ姿で現れたのにはちょっとビックリした。しかもそのかっこうで古ぼけた教会の塔にほこりだらけになりながら登ったのだから、エライもんである。ちょっとお腹が出ているのはお酒のせいでしょう。その金子さんも、野村さんと一緒に食事をして、彼女のマイペースぶりには舌を巻いていた。「わがままできて、いいなあ」と。
ポーランドはゴスティンという田舎町に行ったが、たまたま広場に移動遊園地が来ていた。夕暮れの中に小さなメリーゴーラウンドの電飾が浮かび上がるのを見ると、少し物悲しい気がした。この町で60年前、ドイツ軍による市民30人の公開処刑が行なわれ、市民は泣きながらそれを見守っていたのだ。金子さんは「そうした歴史の生き証人は数年後すべていなくなってしまう」という。できる限りこうした人々を歴史の表舞台に出してあげたいと考えているのだ。

イギリス/ジム・カスバートさん
ロンドンは物価が高い。ホテル代も高い。で、安いところをとってもらったら、これがまた場末のビジネスホテルのような趣だった。枕もとの水道からはピシャンピシャンと水滴が落ち、窓の下を地上に出た地下鉄が轟音を立てて行き来する。しかも空調がないので、西日が当たる部屋は夜9時過ぎまで暑くて部屋にいられない。
そんなロンドンの名コーディネーターといわれるのがジムさんだ。ジムさんはどんなときでもTシャツに半ズボンである。「コーディネーターの制服」だそうだ。うーん、ジムさんだけじゃないかなあ。しかしジムさんの名刺には「ケンブリッジ大学卒業」と印刷されている。名刺に卒業大学を書くのは、日本人ではありえないと思うが、イギリスではポピュラーらしく、取材したドレスデン・トラストの代表も名刺に「オックスフォード大学卒業」と書いてあった。どっちが偉いんだっけ? 取材が終わってからトラストの代表がジムさんの名刺を見て「ケンブリッジなら許そう」とつぶやいた。どういう意味なんだろうなあ。

 
※この番組は2004年8月7日、NHK BS1で23:00〜23:50に放映されました。
 プロフィール
 伊槻雅裕
 「ひげのだんな」と息子にいわれた。
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